2/13(土)開催
平成21年度 沿岸環境関連学会連絡協議会ジョイントシンポジウム
「水産からみた生物多様性とは何かを考える」
我が国は1992年に署名し1993年に締結した生物多様性条約に基づき,生物多様性国家戦略を1995年に定め,その後2007年には第三次生物多様性国家戦略を策定したところである.しかしながら,生物多様性に関する議論の多くは陸域生態系に関わるものであり,海域についてはあまり手がつけられていないのが現状である.海に関わる学問の中で水産学が果たしてきた役割は大きい.しかしその一方で,水産学では,タンパク源としての魚介類を適切な管理の下に持続的に利用する,さらには如何に多く増やして獲るかということに専念してきたため,「水産における生物多様性」についてはほとんど議論がされてこなかった.漁獲対象種についての資源管理型漁業は以前から行われているものの,種苗放流や養殖,あるいは漁獲対象種以外の魚種の混獲とそれらの投棄などの行為が海域の生物群集に及ぼす影響についての研究は,最近行われ始めたところである.
こうした中,2010年には名古屋において生物多様性条約第10回締約国会議が開催される.それを前に,とくに沿岸海域の生物多様性について,まずは水産分野での議論が必要であると考え,本シンポジウムを企画した.本シンポジウムがきっかけとなり,今後,沿岸環境関連学会の中で海域生物の多様性に関する議論の輪が拡がることを期待する.
●日 時:平成22年2月13日(土) 10:00〜17:00
●会 場:東京海洋大学楽水会館(アクセス)
●担 当:水産学会環境保全委員会
●コンベーナー:山本民次,桜井泰徳,清野聡子,河野 博
●プログラム:
1.生物多様性条約COP10に向けて(環境省)
2.生物多様性における水産上の問題点(水産庁) ※問い合わせ中
3.沿岸漁業の持続可能性と生物多様性〜チリと日本の比較〜(松田裕之,横国大)
4.沿岸漁業振興策と生物多様性〜漁業現場からの視点〜
(田中丈裕,岡山県水産課)
5.水産生物の種苗放流が岩礁生態系の生物多様性に及ぼす影響
(河村知彦,東大海洋研)
6.混獲・投棄が漁場の資源・環境に与える影響(松岡達郎,鹿児島大)
7.生態系指標種としての海獣類と持続型沿岸漁業の共存に向けて
(桜井泰憲,北大院水)
8.水産物の移動に伴う外来種の移入の現状と生物多様性に与える影響
(大越健嗣,石巻専修大)
9.養殖事業の生態学的負荷の評価方法と事例紹介(北澤大輔,東大生研)
10. 日本における水産物の多様性(工藤貴史,東京海洋大)
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